先日、千葉市の泉自然公園に、キツネノカミソリを見に行って来ました。2012年に

キツネノカミソリ@泉自然公園
https://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/61722076.html
https://reywa.blog.fc2.com/blog-entry-3779.html
(2012年8月23日)

と云う記事をUPしました。その際、「今年2012年の最盛期は、2012年8月18~19日だった模様です」と書きました。けれど、どういう理屈かワカリマセンが、段々最盛期が早くなっていて、2016年では8月10日で見頃を過ぎた状態。2019年は、2019年8月初めで既に泉自然公園のHPに「見頃」の表示が出ていたので、見に行ったもの。
 目的としては、(1)最盛期の状況が見れるかも、との期待、と(2)2012年以降の推移を見てみたい(何故、ここにキツネノカミソリの群生(生物的には、こうしたものを群生とは言いません。「群生」には、別の独自の定義があります)と言えるほどのものが見られるのか、を不思議に思っていた事もあります)、との思いからです。

 なお、キツネノカミソリは、ヒガンバナに似た花ですが、日本の固有種。
 ヒガンバナは中国原産で、古来では日本には3倍体が持ち込まれた故に、原則、種が出来ず、球根でしか増えません。私は、ヒガンバナの輸入を、稲作の導入に伴って、弥生時代初期(縄文時代末期)に、猫などと共に、持ち込まれたものと考えています。3倍体だけが導入された理由は、ヒガンバナはアルカロイドと云う毒を含む植物だから、勝手に増えない様にしたのだろうと考えています(毒がある故に、畦<アゼ>などに植える事で、ネズミやモグラなどが穴を空けるのを予防出来る)。
 一方、キツネノカミソリは日本固有種ですので、種も出来、種で増える事が出来ます。ヒガンバナにも色々な名がある(女郎花とか幽霊花とか)のですが、類縁種であるキツネノカミソリ、オオカミノカミソリ(キツネノカミソリとは別種)などのカミソリの名は春に出る細長い葉っぱの様子を見立てたもの。キツネの方は、http://izumi-park.city.chiba.jp/news.php?m=153 に拠ると、オレンジ色の花をキツネの毛色に例えたものだそうです(じゃあ、オオカミノカミソリは??)。

 で…今年2019年8月初旬に見に行ったところ、キツネノカミソリの開花個体数げ激減していました。先の泉自然公園のページのうち、なんとか群生(生物学的には、集生?)っぽい群落が見られたのは、最奥部(pdf地図で「おすすめの群生地」とされているもの。駐車場にも同じ地図がありました)のところだけ。それでさえ、2012年の様子に較べると、開花個体数は半分より少なかったと思います。尤も、最奥部では、記憶に無いほどの上の方にも植生地が広がっていた様にも感じましたが。
 他のところでは、ぽつぽつと開花している個体が数株見られる、てなところがほとんど。先の最奥部を除くと、蓮池(連続している池の最奥部)の東側通路(池の畔、山側の通路)にぽつぽつと20個体程度の開花個体があっただけ。見るも寂しい在り様になっていました。

 過去の様子を検索してみると、2017年までは、

https://blogs.yahoo.co.jp/hanaoyaji_katatumuri/35430869.html (ヤフー・ブログのサービス停止により、2019年12月15日までしか閲覧出来ない)
https://hanaoyajiblog.blog.fc2.com/blog-entry-227.html (上の記事をFC2に移行したもの)

で見られる様に、2012年と同様の開花だった様ですが、2018年には

https://blogs.yahoo.co.jp/hanaoyaji_katatumuri/35832568.html
https://hanaoyajiblog.blog.fc2.com/blog-entry-78.html

に拠ると、開花個体数が激減していたそうです。私の行ったのが209年8月初旬と早かったので、「これから開花するのもあるのかな?」とも思っていたのですが、茎(彼岸花系の花は、葉っぱが出ている期間は花は咲かず、葉っぱが散ってから茎が出て、花が咲きます)と蕾だけって個体も見掛けなかったし、どこでも萎れた花と同時に蕾を付けた個体ばかりで、決して早過ぎた訳でもない様子が見て取れました。開花個体数自体が減っているのは間違いないだろうと考えています。

 理由は、今年2019年になって急に減った訳では無さそうなので、現在の姿から何かを推測するのは困難です。けれど、最奥部以外で開花個体数が最も多かった、蓮池の脇の通路が、草ぼうぼうだった事から推測すると、昨年2018年以降の草刈りが、上手くキツネノカミソリの当年の生活史と合っていなかったからでは?と邪推してしまいます。
 例えば、春先に出た葉っぱを、それと気付かず刈ってしまったので、光合成が出来ず、結果、球根(形から言うと「球」ではなく、「根茎」と表記すべき?)が育たず、開花しなかった、とか。1年でもそうした年があると、翌年以降の開花個体数は減ってしまいます。なお、私の行ったときにもポータブルの機械での草刈りはしていましたが、花の付いたキツネノカミソリが廃棄物の中にある、なんて事はありませんでした。
 近年は、少しずつ植物の開花期がずれて来ていますので、従来と同じ日付で同じ様に草刈りを行っていても、どこかの有用植物の生活史(聞き慣れない言葉かも知れませんが、専門用語なので、検索してみて下さい。成長・繁殖のタイミング)
と干渉(バッティング)する事が生じているのかも知れません。

 思いつく限りで可能性のある原因を挙げてみると、

(A)盗掘
(B)人の進入による土壌の踏み固め(2019年も写真を撮るために進入している人がいました)
(C)(上で書いたもの)葉っぱの時期に、葉っぱを刈ってしまい、光合成が出来ずに終わった
(D)気象要因などによる死滅
(E)時期に配慮せずに、開花後や秋に草刈りを行ったり、落ち葉を片付けた為に、種が実らなかったか、種が地上に残る事無く持ち去られた。
(F)(E)とは逆に、葉っぱが草刈りが冬の間に行われなかった事で、葉っぱが充分な光合成を行う事が出来なかった
(G)もしかしたら、人の手で植え替えを行った。

などが挙げられます。上の「原因」としたものの中で、相互に矛盾しているものがある通り、確たるものではありません。が、考えられる仮説。どれかに該当するか、は、現実の記録(これが無いと、何も始まりません)と照らし合わせてみないと何とも言えません。

 泉自然公園は、熊谷俊人・現・千葉市長の「賑わい創出」の方針によって、フォレストアドベンチャー千葉(民間企業)を誘致したり、中心部の草原を「手ぶらBBQ & デイキャンプ広場」として開放する(だけでなく、器具のレンタルなども行う。恐らく民間の運営)などの施策を行っています(公式HPも見易くなりました)が、その一方で、もともとあった自然が維持出来ていないのは残念な事です。恐らく、私は、あと10年ほど、下手すると、私の生涯を通じて、ここにキツネノカミソリの開花を見に来る事は無いかも知れません。2012年の様子を見ておけて幸運だった、と思います。

 …なんて思ってたら、2019年8月8日18:05~NHK総合TV(首都圏)で放送された「首都圏ネットワーク」の中で、この泉自然公園のキツネノカミソリをやっていました(いつも通りなら、20:45~のニュスの中で、この部分の再放送がある筈)。画面では、素晴らしいものでしたが…開花個体数は私の見たものと大して変わっていなかった筈。


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<関連記事>

在りし日(2012年8月21日)のキツネノカミソリ@泉自然公園
https://reywa.blog.fc2.com/blog-entry-5201.html
https://reywa.blog.fc2.com/blog-entry-5201.html
(2019年8月9日UP)