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アミノ酸などの様々な有機分子が地球上に存在していたと考えて良いでしょう。(前記事参照)
さて、次のステップは???
アミノ酸はどのようにしてタンパク質(酵素)に進化していったのでしょう????
有機分子は雨滴と一緒に海に回帰することで、まずは大気中での分解を回避しました。
生命誕生の奇跡 (2) 海底下で生き延びた高分子
地球外から飛来したにせよ、隕石の衝突で生成されたにせよ、40-38億年前にはアミノ酸などの様々な有機分子が地球上に存在していたと考えて良いでしょう。(前記事参照)
さて、次のステップは???
アミノ酸はどのようにしてタンパク質(酵素)に進化していったのでしょう????
第1段階:酸化的大気からのサバイバル
大気圏で生成された有機分子は、いずれ酸化的な大気中で分解の危機にさらされてしまいます。有機分子は雨滴と一緒に海に回帰することで、まずは大気中での分解を回避しました。
次に有機分子が海水に良く溶け込むことが大事です。
有機分子の中でも炭化水素(炭素と水素だけでできた化合物:石油や天然ガスの主成分)は
水にはなじまないため、海面に浮上して油膜となり、
大気に接して酸化分解してしまい、N2, CO2, H2Oに戻ったでしょう。
有機分子の中でも炭化水素(炭素と水素だけでできた化合物:石油や天然ガスの主成分)は
水にはなじまないため、海面に浮上して油膜となり、
大気に接して酸化分解してしまい、N2, CO2, H2Oに戻ったでしょう。
一方、アミノ酸、核酸塩基、糖は親水性なので水に良く溶け込み、海水中に分散できます。
海水に溶け込むことによって、酸化的な大気と遮断され、分解せずにサバイバルできたのです。
隕石の海洋衝突で生じた金属微粒子、ケイ酸塩微粒子、粘土鉱物の微粒子などです。
中でも、粘土鉱物は有機分子を吸着する性質があります。
アミノ酸や核酸塩基などの生物に必要な有機分子を吸着した粘土鉱物は
相互に凝集して海底に沈殿したと考えられます。
海水に溶け込むことによって、酸化的な大気と遮断され、分解せずにサバイバルできたのです。
第2段階:より安全な海底へうまく移動した有機分子
当時の海には様々な微粒子がコロイドとなって浮遊しています。隕石の海洋衝突で生じた金属微粒子、ケイ酸塩微粒子、粘土鉱物の微粒子などです。
中でも、粘土鉱物は有機分子を吸着する性質があります。
アミノ酸や核酸塩基などの生物に必要な有機分子を吸着した粘土鉱物は
相互に凝集して海底に沈殿したと考えられます。
粘土鉱物:粘土の主成分で、シート状のケイ酸塩鉱物。
鉱物の表面が帯電しているので、分子やイオンがくっつきやすい。
鉱物の表面が帯電しているので、分子やイオンがくっつきやすい。
海中よりも海底の方が還元的な環境(酸化・分解を免れる環境)です。なぜなら、
当時の海底の沈殿物は隕石起源の金属微粒子(還元的な粒子)を主体とするからです。
当時の海底の沈殿物は隕石起源の金属微粒子(還元的な粒子)を主体とするからです。
有機分子は、大気⇒ 海中⇒ 海底⇒ 海底下 と、より酸化・分解から保護される
安全な還元的環境に移動することで保存され濃縮されたのです。
しかし、海での分子進化には矛盾があるのです。その矛盾とは...
安全な還元的環境に移動することで保存され濃縮されたのです。
第3段階:有機分子が高分子化したのは海ではなく地下だ!
多くの教科書では、「生命は海で生まれた」と書かれています。いわば常識です。しかし、海での分子進化には矛盾があるのです。その矛盾とは...
アミノ酸のような小さな有機分子が、海底で自然に1000個以上も順次つながって
タンパク質のような巨大分子に重合することは化学的に不自然なのです。
タンパク質のような巨大分子に重合することは化学的に不自然なのです。
分子と分子がつながる重合反応は脱水反応です。
しかし、多量に水がある海中は、逆に加水分解が進行する条件です。
しかも、塩基やアミノ酸配列には厳密な順番があり、
海水中でそんな重合反応が次々と起こり続けることはまず不可能でしょう。
しかし、多量に水がある海中は、逆に加水分解が進行する条件です。
しかも、塩基やアミノ酸配列には厳密な順番があり、
海水中でそんな重合反応が次々と起こり続けることはまず不可能でしょう。
では、加水分解の環境の中でいかに逆向きの脱水重合反応を進められるか?
この難問を解くため、中沢氏は、
「海中ではなく、海底下に深く埋没した後で反応が進んだ」と主張します。
有機分子の重合反応が起こりやすい、脱水環境・還元的環境は
海中ではなく海底下に存在するからです。
中沢氏によれば、そうした重合反応=分子進化は、水溶液中での反応ではなく、
鉱物の表面や界面などに囲まれた場での反応であった可能性が高いというのです。
アミノ酸の高分子化。点線で囲まれた部分をペプチド結合と呼ぶ。
この脱水重合反応によってアミノ酸は直鎖状に高分子化する。
R1, R2はアミノ酸の側鎖。Rは20種類ある(つまりタンパク質を作るアミノ酸は20種類)
圧力や温度がかなりのレベルまで上昇します。
厚く積み重なった粘土層の荷重で圧力を受け、粘土の中から水が絞り出されます。
絞り出された水は、最終的に海面にしみ出します。地下水の移動、湧き水のような現象です。
この難問を解くため、中沢氏は、
「海中ではなく、海底下に深く埋没した後で反応が進んだ」と主張します。
有機分子の重合反応が起こりやすい、脱水環境・還元的環境は
海中ではなく海底下に存在するからです。
中沢氏によれば、そうした重合反応=分子進化は、水溶液中での反応ではなく、
鉱物の表面や界面などに囲まれた場での反応であった可能性が高いというのです。
アミノ酸の高分子化。点線で囲まれた部分をペプチド結合と呼ぶ。
この脱水重合反応によってアミノ酸は直鎖状に高分子化する。
R1, R2はアミノ酸の側鎖。Rは20種類ある(つまりタンパク質を作るアミノ酸は20種類)
海底下3km、温度200℃ でのサバイバル!
粘土層は年月をかけて累々と積み重なり、数kmまで埋没すると、圧力や温度がかなりのレベルまで上昇します。
厚く積み重なった粘土層の荷重で圧力を受け、粘土の中から水が絞り出されます。
絞り出された水は、最終的に海面にしみ出します。地下水の移動、湧き水のような現象です。
粘土層から水が抜けて移動していく過程で、
何1000mも積み重なった粘土層はフィルターの役割りをして、
水に溶け込んでいた有機分子は濾過されて濃縮していったでしょう。
特定の分子だけがどこかに濃縮することもあったかもしれません。
何1000mも積み重なった粘土層はフィルターの役割りをして、
水に溶け込んでいた有機分子は濾過されて濃縮していったでしょう。
特定の分子だけがどこかに濃縮することもあったかもしれません。
有機分子が濃縮することは脱水重合するための条件です。
温度が上昇し、還元的な場であれば、なおさら重合に好都合です。
温度が上昇し、還元的な場であれば、なおさら重合に好都合です。
これは、生物の遺骸の有機分子が、還元的な地下で重合して
重油やタールのような巨大分子になるのと似ています。
重油やタールのような巨大分子になるのと似ています。
中沢氏の実験によれば、
地下3km相当の圧力で、200℃以下であれば、アミノ酸は重合して高分子化します。
さらに高温であれば、グラファイト(炭)になることが実証されました。
地下3km相当の圧力で、200℃以下であれば、アミノ酸は重合して高分子化します。
さらに高温であれば、グラファイト(炭)になることが実証されました。
これは何を意味するのでしょう?
有機分子は地下深くで高分子化することで分解されずに生き残り、
それが200℃以下の環境で保存された高分子の一部がやがて生命に進化し、
200℃以上の環境に持ち込まれた高分子は石油やグラファイトになったのでしょう。
有機分子は地下深くで高分子化することで分解されずに生き残り、
それが200℃以下の環境で保存された高分子の一部がやがて生命に進化し、
200℃以上の環境に持ち込まれた高分子は石油やグラファイトになったのでしょう。
今後の実験で、高温高圧の還元状態で、どこまでアミノ酸の高分子化が進むのかが
解明されるでしょう。まだまだ研究途上です。
解明されるでしょう。まだまだ研究途上です。
重要なポイントは、40-38億年前に海洋への隕石の衝突が激しかった時期があり、
当時の海底は大量の金属微粒子が厚く沈殿し、
重合反応が進む還元的な環境だったということです。
そのような時代は、地球史を通じて40-38億年前だけです。
当時の海底は大量の金属微粒子が厚く沈殿し、
重合反応が進む還元的な環境だったということです。
そのような時代は、地球史を通じて40-38億年前だけです。
有機分子が海底下で高分子となってサバイバルできたのも、
40-38億年前のワンチャンスを生かしたからでしょう。
● 大気圏の有機分子は雨滴となって海に回帰し、大気中の酸化・分解からサバイバル。
● 親水性の有機分子は海水中に溶解して分散。疎水性有機分子は油膜となって酸化・分解。
● アミノ酸や核酸塩基は粘土粒子に吸着して海底(還元的環境=安全な場所)に沈殿。
● 海底下に埋没した有機分子は脱水重合によって高分子化し、高温高圧環境からサバイバル。
● 有機分子は40-38億年前のワンチャンスを生かし脱水重合で高分子化によって海底下で生き延びた。
40-38億年前のワンチャンスを生かしたからでしょう。
まとめ(ココだけ読めばわかります)
● 40-38億年前、隕石の海洋衝突による有機分子のビッグバンで有機分子が生成。● 大気圏の有機分子は雨滴となって海に回帰し、大気中の酸化・分解からサバイバル。
● 親水性の有機分子は海水中に溶解して分散。疎水性有機分子は油膜となって酸化・分解。
● アミノ酸や核酸塩基は粘土粒子に吸着して海底(還元的環境=安全な場所)に沈殿。
● 海底下に埋没した有機分子は脱水重合によって高分子化し、高温高圧環境からサバイバル。
● 有機分子は40-38億年前のワンチャンスを生かし脱水重合で高分子化によって海底下で生き延びた。
次回は、「高分子の組織化と生命の発生」生命は温泉で生まれた???
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EARTH, OCEAN, and LIFE
https://blogs.yahoo.co.jp/edy7oceans
(最終更新日 2008年10月6日)
から転載して来たものです。転載元が、ヤフー・ブログのサービス停止の発表にも関わらず、移転先の告知も行わず放置している様子なので、私の方で、データが失なわれてしまう事の無い様(=データを保管しようと)転載したものです(https://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/65314136.html 参照)。
ヤフー・ブログの転載と云うシステムをご存知ない方は、https://reywa.blog.fc2.com/blog-entry-1318.html などを、お読み下さい。
reywa
がしました