黄色い豚@日立柏酒場裏(ライブドア・ブログ公開版)

https://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda からhttps://reywa.blog.fc2.com/ (2019年8月29日以降の私のメイン・ブログ)に移行したデータを用いて、更に、ここに移行しました。 データの由来(成り立ち)の詳細は、http://reywa.weblog.to/archives/5241451.html を ご覧下さい。

カテゴリ: 地学関連(転載)

 先ほど、





私からブログリンクしている他ブログの一覧


https://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/65314131.html


(2019年8月20日UP)





をまとめている過程で気付いたのですが、私にとって重要なまとめ記事である








EARTH, OCEAN, and LIFE


https://blogs.yahoo.co.jp/edy7oceans


(最終更新日 2008年10月6日)





のブログの記事が、移行の告知も行われず、放置されているのに気付きました。ブログ主の意向により、全ての記事が転載可に設定されていますので、当ブログに転載でデータの取り込みを行おうと考えています。もしかしたら、ブログリンクされている方には、マイページで多くの記事が並ぶ事になるかも知れませんが、ご容赦頂きたく、お願い致しますm(_ _)m 








 ~~~ ~~~





<追記>





 当ブログへの移入(転載)に関しては、記事を通読しながら、2019年8月20日09:30前に、必要と考える全てを完了しました。数個の記事を選択的に移入の対象から外しました。





 FC2への移行に関しては、Seesaaブログやライブドア・ブログに対しての公式移行ツールによって、転載記事を移行出来れば、Seaasaaブログやライブドア・ブログの書庫別の選択的エクスポートを経由する事で可能です。が、それが出来ない場合、別途、テスト・ブログへ対象記事だけを転載した後、FC2側提供の移行ツールで、テスト・ブログの全データを移行する手続きを踏まなければならないかも知れません。




ホーム㈠地球と生命②太古代

生命誕生の奇跡 (3) 代謝機能と細胞膜の獲得

さて、海底に埋没した有機物が、「生命体」に進化するためには、
  ▶自己複製機能をもつ(RNA, DNA)
  ▶代謝機能をもつ(酵素=タンパク質)
  ▶膜で包まれている(リン酸脂質+コレステロール)
この3つを獲得しなければなりません。長い長い道のりですが、
このプロセスを解き明かすヒントが少しずつ見えてきました。

① 鉱物の表面で有機分子の重合・高分子化が進んだ

有機分子の重合反応は、どこでどのように進んだのでしょうか?
おそらく、海底下に埋没した粘土層の粒子のすき間で起こったのでしょう。
特に粘土鉱物(層状のケイ酸塩鉱物)の表面で起こりやすいと言われています。
粘土鉱物の表面(界面)でアミノ酸の重合反応が起きるという説が1959年に提唱されました。

なぜ鉱物の「表面」なのかというと、溶液中よりも表面の方が、分子が自由に動けない分、
分子の結合反応が起きやすいからです。鉱物の表面が化学反応の触媒として機能するのです。

② 鉱物の表面で代謝が起こった!「Fe-Sワールド」

もっと具体的に鉱物の表面での有機物の進化を論じたのが1988年発表の『表面代謝説』です。
黄鉄鉱(FeS2)表面にアミノ酸、核酸、脂質など吸着すると重合反応が起こるという説です。
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/622909/58/45110458/img_1?20130707213659

||http://neotachyon.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2007/09/12/0709121.jpg
黄鉄鉱(パイライト)の結晶(Wikipediaより)

なぜ黄鉄鉱上で有機物の合成反応が起きやすいのか? 
それは、この鉱物表面上で、エネルギーを生み出してCO2から有機物を固定すること、
つまり代謝(最も原始的な)が可能だからです。「えっ?」っと思うかもしれません。

この反応は、FeS + H2S → FeS2 + H2 で表され、
黄鉄鉱の周囲に鉄イオン、硫化水素があれば、自発的に水素イオンと電子を放出する
最もシンプルなエネルギー代謝反応です。
さらに、周囲にCO2が溶け込んでいれば、自発的にギ酸(HCOOH)を生成します。
外部のCO2を有機固定するシンプルな物質代謝反応です。

つまりこれは、黄鉄鉱の周囲に「化学的な不安定さ」が用意されていれば、
そこから電子を取り出して栄養源とする代謝系(独立栄養代謝系)で、
細胞膜に包まれていなくても黄鉄鉱の表面で代謝が可能ということを意味しています。

▶代謝とは外から取り入れた物質から他の物質を合成してエネルギーを得るという生体化学反応で、
▶酵素(タンパク質)が触媒として多段階の反応を担っています。
▶タンパク質が存在しない初期地球では、黄鉄鉱が酵素の代役をしていたというわけです。

この原始代謝系を「Fe-Sワールド」といいます。
▶DNAの前には、RNAが遺伝情報と酵素活性の両方を持っていたという「RNAワールド」に対して、
▶複製機能や細胞膜よりもFe-Sによる代謝系が先行したというのが「Fe-Sワールド」

③ 原始代謝はどこで始まった? 鉄と硫黄が豊富な深海の温泉

さて、原始代謝の舞台となった場所はいったいどこにあるのでしょうか?
条件は、金属イオンや硫化水素が豊富で、黄鉄鉱が生成されている化学的に不安定な場所。
それは深海の温泉です。熱水噴出孔とも言います。
現在の熱水噴出孔では、硫化物から有機物を合成するバクテリアが生息しています。


深海の水温は2℃くらいですが、噴出する熱水の温度は400℃に達します。
深海は高圧なので水は沸騰せず超臨界状態、極めて反応性の高い状態です。

④ 細胞膜はどうやって出来た?

次に生命体に必要なのは膜です。膜は環境から自己を区別するためにどうしても必要です。

そもそも膜とはいったい何からできているのでしょう?
細胞膜はリン酸脂質とコレステロールの二分子膜構造です。
でも、そのような膜を簡単な有機分子から組み立てることは難しいでしょう。

実は、深海の温泉で無機的に膜をつくことができるのです。
▶原始の海は高温・酸性でFe2+に富みます
▶一方、熱水は高温・アルカリ性で硫化水素に富むと言われています。
これらを高温で混合すると、硫化水素とFe2+イオンが急速に反応して硫化鉄が析出し、
硫化鉄の膜で覆われた微小な泡(小胞)がたくさんできることが実験室で再現されています。

この泡は「酸性の海洋」と「熱水起源のアルカリ性内容物」を仕切り、
膜の内と外のpH勾配ができることで、化学反応の小部屋になった可能性もあるでしょう。
この硫化鉄の膜が原始代謝系を包み込むことができたかも知れません。

有機物の膜が無い時代は、このように無機鉱物の自己組織化でできた膜
細胞膜の代用品(前駆体)になったのかも知れません。
この膜は、脂質を吸着できますから、それがのちに、無機・有機複合体の膜、
そして有機物の膜にとってかわり、細胞膜に発達した可能性があります。

また、黄鉄鉱界面上でイソプレノイドアルコールが合成可能です。
イソプレノイドアルコールは古細菌の膜をつくる物質です。
イソプレノイドアルコールからなる膜脂質が表面代謝系ごと遊離すれば、
細胞を有する生命の誕生へつながったかもしれません。

ここからバクテリアができるまでも長い長い道のりがありますが、
「Fe-Sワールド」「表面代謝説」「鉱物の自己組織化による膜の形成」は、
第一歩の仮説としては上出来と言えるでしょう。

http://cyber.tokaigakuen-u.ac.jp/cosmos/century/cellborn.gif

⑤ 生命の素、リンも豊富な深海の温泉

細胞膜リン酸脂質からできています。DNAの核酸塩基糖とリン酸のエステル結合ですし、
エネルギー代謝ATPのリン酸の授受で行われています。
つまり、リンは生命の誕生に欠かせない元素です。

リン酸は海水中にはほとんどありませんが、地下の熱水脈中には豊富に存在しますから、
海底の温泉は生命の誕生にとても有利な場所と言えるでしょう。

まとめ(ココだけ読めばわかります)

● アミノ酸、核酸、脂質の重合反応は鉱物の界面で起こりやすい。
● 黄鉄鉱の表面では鉄と硫黄を使った代謝反応が自発的に進行する。「Fe-Sワールド」
● 「表面代謝」が起こりうる場所は、鉄と硫黄を豊富に含むアルカリ性の深海温泉
● 深海熱水の環境で、無機的に硫化鉄の膜(小胞)を作ることができる。
● 黄鉄鉱の表面では細胞膜の材料となる脂質を合成することができる。
● 熱水環境と代用品をうまく使えば、原始的な代謝と原始的な膜の生成は十分ありうるシナリオ。

代謝、細胞膜、とくれば、次は自己複製機能です。
次回はシリーズ最終回「複製機能はいかにして獲得されたか?」

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転載元
転載元: EARTH, OCEAN, and LIFE


ホーム㈠地球と生命②太古代

生命誕生の奇跡 (2)  海底下で生き延びた高分子

地球外から飛来したにせよ、隕石の衝突で生成されたにせよ、40-38億年前には
アミノ酸などの様々な有機分子が地球上に存在していたと考えて良いでしょう。(前記事参照)
さて、次のステップは???
アミノ酸はどのようにしてタンパク質(酵素)に進化していったのでしょう????

第1段階:酸化的大気からのサバイバル

大気圏で生成された有機分子は、いずれ酸化的な大気中で分解の危機にさらされてしまいます。
有機分子は雨滴と一緒に海に回帰することで、まずは大気中での分解を回避しました。

次に有機分子が海水に良く溶け込むことが大事です。
有機分子の中でも炭化水素(炭素と水素だけでできた化合物:石油や天然ガスの主成分)は
水にはなじまないため、海面に浮上して油膜となり、
大気に接して酸化分解してしまい、N2, CO2, H2Oに戻ったでしょう。

一方、アミノ酸、核酸塩基、糖は親水性なので水に良く溶け込み、海水中に分散できます。
海水に溶け込むことによって、酸化的な大気と遮断され、分解せずにサバイバルできたのです。

第2段階:より安全な海底へうまく移動した有機分子 

当時の海には様々な微粒子がコロイドとなって浮遊しています。
隕石の海洋衝突で生じた金属微粒子、ケイ酸塩微粒子、粘土鉱物の微粒子などです。
中でも、粘土鉱物は有機分子を吸着する性質があります。
アミノ酸や核酸塩基などの生物に必要な有機分子を吸着した粘土鉱物は
相互に凝集して海底に沈殿したと考えられます。

   粘土鉱物:粘土の主成分で、シート状のケイ酸塩鉱物。
        鉱物の表面が帯電しているので、分子やイオンがくっつきやすい。

海中よりも海底の方が還元的な環境(酸化・分解を免れる環境)です。なぜなら、
当時の海底の沈殿物は隕石起源の金属微粒子(還元的な粒子)を主体とするからです。

有機分子は、大気⇒ 海中⇒ 海底⇒ 海底下 と、より酸化・分解から保護される
安全な還元的環境に移動することで保存され濃縮されたのです。

第3段階:有機分子が高分子化したのは海ではなく地下だ!

多くの教科書では、「生命は海で生まれた」と書かれています。いわば常識です。
しかし、海での分子進化には矛盾があるのです。その矛盾とは...

アミノ酸のような小さな有機分子が、海底で自然に1000個以上も順次つながって
タンパク質のような巨大分子に重合することは化学的に不自然なのです。

分子と分子がつながる重合反応は脱水反応です。
しかし、多量に水がある海中は、逆に加水分解が進行する条件です。
しかも、塩基やアミノ酸配列には厳密な順番があり、
海水中でそんな重合反応が次々と起こり続けることはまず不可能でしょう。

では、加水分解の環境の中でいかに逆向きの脱水重合反応を進められるか? 
この難問を解くため、中沢氏は、
「海中ではなく、海底下に深く埋没した後で反応が進んだ」と主張します。
有機分子の重合反応が起こりやすい、脱水環境・還元的環境は
海中ではなく海底下に存在するからです。
中沢氏によれば、そうした重合反応=分子進化は、水溶液中での反応ではなく、
鉱物の表面や界面などに囲まれた場での反応であった可能性が高いというのです。


https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/622909/72/45016272/img_0?20190820092148

    アミノ酸の高分子化。点線で囲まれた部分をペプチド結合と呼ぶ。
    この脱水重合反応によってアミノ酸は直鎖状に高分子化する。
    R1, R2はアミノ酸の側鎖。Rは20種類ある(つまりタンパク質を作るアミノ酸は20種類)

海底下3km、温度200℃ でのサバイバル!

粘土層は年月をかけて累々と積み重なり、数kmまで埋没すると、
圧力や温度がかなりのレベルまで上昇します。
厚く積み重なった粘土層の荷重で圧力を受け、粘土の中から水が絞り出されます。
絞り出された水は、最終的に海面にしみ出します。地下水の移動、湧き水のような現象です。

粘土層から水が抜けて移動していく過程で、
何1000mも積み重なった粘土層はフィルターの役割りをして、
水に溶け込んでいた有機分子は濾過されて濃縮していったでしょう。
特定の分子だけがどこかに濃縮することもあったかもしれません。

有機分子が濃縮することは脱水重合するための条件です。
温度が上昇し、還元的な場であれば、なおさら重合に好都合です。

   これは、生物の遺骸の有機分子が、還元的な地下で重合して
   重油やタールのような巨大分子になるのと似ています。

中沢氏の実験によれば、
地下3km相当の圧力で、200℃以下であれば、アミノ酸は重合して高分子化します
さらに高温であれば、グラファイト(炭)になることが実証されました。

これは何を意味するのでしょう?
有機分子は地下深くで高分子化することで分解されずに生き残り、
それが200℃以下の環境で保存された高分子の一部がやがて生命に進化し、
200℃以上の環境に持ち込まれた高分子は石油やグラファイトになったのでしょう。

今後の実験で、高温高圧の還元状態で、どこまでアミノ酸の高分子化が進むのかが
解明されるでしょう。まだまだ研究途上です。

重要なポイントは、40-38億年前に海洋への隕石の衝突が激しかった時期があり、
当時の海底は大量の金属微粒子が厚く沈殿し、
重合反応が進む還元的な環境だったということです。
そのような時代は、地球史を通じて40-38億年前だけです。

有機分子が海底下で高分子となってサバイバルできたのも、
40-38億年前のワンチャンスを生かしたからでしょう。

まとめ(ココだけ読めばわかります)

● 40-38億年前、隕石の海洋衝突による有機分子のビッグバンで有機分子が生成。
● 大気圏の有機分子は雨滴となって海に回帰し、大気中の酸化・分解からサバイバル。
● 親水性の有機分子は海水中に溶解して分散。疎水性有機分子は油膜となって酸化・分解。
● アミノ酸や核酸塩基は粘土粒子に吸着して海底(還元的環境=安全な場所)に沈殿。
● 海底下に埋没した有機分子は脱水重合によって高分子化し、高温高圧環境からサバイバル。
● 有機分子は40-38億年前のワンチャンスを生かし脱水重合で高分子化によって海底下で生き延びた。

次回は、「高分子の組織化と生命の発生」生命は温泉で生まれた???



参考にした図書:中沢 弘基著『生命の起源・地球が書いたシナリオ』
http://ec2.images-amazon.com/images/I/51DD22YNXDL._SS500_.jpg

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転載元: EARTH, OCEAN, and LIFE


ホーム㈠地球と生命②太古代

生命誕生の奇跡 (1) 上空で作られたアミノ酸

生命の起源。それは科学の最大のテーマであるだけでなく、
人類の大きな哲学的テーマの一つで、ロマンに満ちた話題です。

地球史46億年の中で、生命がいつ発生したのかは正確には分かっていません。
40億年前という説、38億年前という説、もっと後だという説もありますが、
40億年前から27億年前までのどこかで、有機分子(アミノ酸など)から
高分子(タンパク質など)を経て、生命体が誕生しました。

有機体が生命体であるためには、少なくとも2つの条件が必要です。
1つは自己複製機能。DNA上の情報を解読・翻訳して様々なタンパク質を合成します。
2つ目は代謝機能。外界からエネルギーを取り出し、自分の体を作ります。
代謝は酵素(タンパク質)が担います。生体内の化学反応の触媒と言っても良いでしょう。

しかしここでパラドックスがあります。
酵素を作るためには、酵素の設計図が書き込まれているDNAが必要だし、
そのDNAを組み立てるには酵素が必要です。まさに「にわとりと卵」の関係にあります。
初期地球にはDNAも酵素もありませんでした。これでは生物の誕生は永久に不可能です。

1980年代にRNA (DNAから情報をコピーして複製先にペーストするメモ帳のようなもの) の中に
「遺伝情報を記録し、なおかつ酵素としても機能するものがある」ことが発見されました。
それに基づいて「現在のDNA生命よりも前に、RNAが遺伝と代謝を担うRNA生命が存在した」
という仮説が提案されました。これをRNAワールドといいます。そして、RNAは徐々に
遺伝情報の保存能力をDNAへ、触媒能力をタンパク質へと譲り渡していったといわれています。
→過古事記参照

しかし、仮にRNAがタンパク質よりも先にあったとしても、
H, C, N, Oなどの元素から、いきなりRNAが生成される確率は限りなくゼロに近く、
RNAが生命の起源物質であるとして決着がついたわけでは全くありません。

窒素、水、C0, CO2などの材料から大気中や海中で一つ一つ反応を進めて、
アミノ酸や核酸塩基や糖などの生物有機分子が自然にできあがることはまず不可能で、
さらにそこからDNAやタンパク質などの巨大分子(ポリマー)が自然にできあがることも
何か魔法のような仕掛けでもない限り、まず不可能です。

しかし、その魔法の仕掛けが見えつつあるのです。
1990年代以降に急速に進展した惑星形成論によって、初期地球の環境が分かってきたためです。

最近、中沢弘基著「生命の起源 地球が書いたシナリオ」を読みました。
この本は生命の起源について極めて重要なヒント・仮説を提示しています。
読みこなすためにはそれなりの基礎知識が必要ですが、
噛み砕いて、簡潔にこの本の要点を3回に分けて解説したいと思います。

アンモニアがどうやって地球上に現れた?(アンモニアがないとアミノ酸はできない)

有名な1953年のミラーの実験では、原始大気であるアンモニア、メタン、水の混合気体に
火花放電をさせ、タンパク質を構成する何種類かのアミノ酸を合成することに成功しています。

しかし「地球の原始大気はアンモニアとメタンである」という当時の前提は今や崩れています。
マグマオーシャンの原始大気は1200℃以上の酸化的な環境だったので、
アンモニア、メタンなどの還元性気体は即座に分解してしまいます。
初期地球においてアンモニアやメタンは安定に存在し得ません
原始大気は二酸化炭素や窒素酸化物などの酸化性気体が主成分なのです。

アミノ酸が生成するためにはアンモニアは絶対的に必要な前駆体ですが、
そのアンモニアがどうやって地球上に現れたのかすらわかっていなかったのです。

その謎を解く鍵は、微惑星・隕石の爆撃でした。

微惑星・隕石の銃弾爆撃を受けた太古の海洋

原始地球の進化の様子をおさらいしておきましょう。
(1) 原始地球は多数の微惑星・隕石の衝突・合体によって急速に成長し、
  45.5億年前に現在とほぼ同じ大きさになった。
(2) 衝突した微惑星はいったん蒸発し、金属や岩石はすぐに凝集して沈殿したが、
  水蒸気、二酸化炭素、窒素は大気成分となった。金星と同じ100気圧程度。
(3) 微惑星の衝突エネルギーによって地球の表面は融解し、マグマオーシャンができていた。
  マグマオーシャンの温度は岩石が溶ける1200℃以上。
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/622909/20/44823420/img_1?20190820091926

(4) 大気中にメタンやアンモニアが存在したとしてもすぐに分解され、
  生命の素になる有機物を完全に除去した無機の世界にリセットされた。
(5) 微惑星・隕石の衝突の頻度が落ちると地球表面の温度が下がり、水蒸気が凝集して
  43億年前には海が出現する。大気は1気圧に近づく。35億年前には隕石の衝突はおさまる。
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/622909/20/44823420/img_2?20190820091926

つまり、遅くても40億年前には海ができていて、35億年前頃まで、
微惑星・隕石は現在の1000倍以上の頻度で衝突を続けていました。
40-38億年の間に1平方メートルあたり200トンもの隕石が降り積もった!
そこで何が起こっていたのでしょうか?

「有機分子のビックバン説」衝撃蒸気流でできたアンモニアとアミノ酸

アンモニアやアミノ酸が生成される過程を簡単に説明します。
(1) 微惑星・隕石が海に衝突すると、微惑星・隕石(金属、鉱物、炭素)は蒸発して
  微粒子となって噴出。
(2) 衝突によって海水は超臨界水となる。超臨界水は気体として振る舞いながら、
  金属や鉱物を原子や分子の状態で溶かし込む。極めて反応性の高い雲を形成。
(3) 超臨界水は一気に還元され、多量の水素と反応熱を発生。
(4) 超臨界水と水素と隕石の気体は高温の衝撃蒸気流となって大気圏に上昇する。
(5) この衝撃蒸気流の中に原子の状態で溶解している金属鉄は還元剤として作用する。
  鉄が水を還元して酸化鉄になり、還元環境が作られる
(6) 隕石の気体の中には固体炭素の微粒子も含まれる。還元条件の衝撃蒸気流の中で
  超臨界水や水素と固体炭素が反応すれば多様な有機分子が生成される
(7) 固体炭素はもともとベンゼン環が無限に連なったものだから、ベンゼン環を有する
  アミノ酸も容易に生成できてしまう。
(8) 還元条件の中で窒素と水素ガスからアンモニアができる反応が容易に進行する。
  生成したアンモニアは上空で冷却され、雨滴に溶けて海に回帰する。
  アンモニウムイオンとなって安定に海水中に存在する。

N2、H20、C0, CO2などの小さな分子から一つ一つ反応を進めて有機分子を作るのは
何十億年かけても無理。
隕石の衝突による高温の衝撃蒸気流の中で、炭素、水素、窒素、金属を溶かし込んだ
還元的な超臨界水の中で、一挙に有機分子が生成され、上空から降って来たという説。
これが「有機分子のビックバン説」です。40-35億年前の出来事です。

本の筆者は衝撃蒸気流内のアンモニアやアミノ酸の合成実験に成功しています。
詳細は本を参照してください。

まとめ(ココだけ読めばわかります)

● 生命の起源は初期地球の環境が分からなければ解明できない(生物や化学だけでは分からない)
● 生命の素になった有機分子は隕石の海洋衝突による衝撃蒸気流の中で生成された
● 隕石に含まれる固体炭素が有機分子の素材となった
● 有機分子を生成する還元的環境を作ったのは、超臨界水に溶けた隕石の金属鉄である。
● 海が出現し、隕石衝突がまだ激しかった40-38億年前のワンチャンスに有機分子ができた。

次の難関は、「アミノ酸などの簡単な有機分子が、いかに重合して
タンパク質や核酸などの高分子になることができたか?」です。
次回 「生命は地底で発生した!」です。



参考にした図書:中沢 弘基著『生命の起源・地球が書いたシナリオ』
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転載元: EARTH, OCEAN, and LIFE


地震のしくみと地震予知(1)

  阪神淡路大震災から13年ほど経過しました。この震災を契機に、
  地震観測網が整備され、地震シミュレーション研究などが大きく進展しました。
  その結果、ここ10年ほどで地震の科学がめざましく発展し、
  地震予知が科学の射程に入りつつあります。

 「大地震の発生する場所はあらかじめ決まっている」とする考え方と,
 「大地震はどこでも発生しうる」という考え方の二通りがあり、
  どちらが正しいかは長らく論争がありました。
  最近の研究により、前者であることがことが分かってきました。

    「地震のしくみと地震予知」について3回シリーズで解説します。

その1:アスペリティで地震が起こる

こんなマンガを見かけたことがありませんか?
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/623309/02/41411702/img_0?20130727160328

陸のプレート(岩盤)は、海のプレートに引きずり込まれ、耐えきれなくなった時に、
陸のプレートはビョ~ンと跳ね上がります。これが海溝型の地震です。

↑↑↑しかしこれは地震のしくみを説明する古典的な図で、
最近ではこんな図↓↓↓で表現されています。

https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/623309/02/41411702/img_1?20130727160328


陸と海のプレートの境い目はガッチリかみ合っている部分ずるずる動いている部分があります。
ガッチリかみ合っている部分は普段は全く動きませんが、地震の時だけバリバリっと動きます。

この「ガッチリかみ合っている部分」を「アスペリティ」と言います。
最近10年程度で認識されるようになった概念です。ぜひ覚えて下さい。

アスペリティとは?

アスペリティとは、プレートの境い目に分布する、周囲にくらべて摩擦強度の大きな領域です。
地震波の記録を丹念に解析することによってアスペリティの分布が明らかになってきました。

https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/623309/02/41411702/img_2?20130727160328

(アスペリティの空間分布のイメージ)

陸に平野や山地があるのと同じように、海底にも平野や山地・山脈があります。
まだら模様に見えるアスペリティのランダムな分布は、
陸の下に潜り込んでしまったかつての海底の山地(海山 [かいざん])の分布に
相当するのではないかと考えられています。

地下に潜り込んだ海山の「でっぱり」が引っかかって、
プレート運動にブレーキが効いている状態になっているらしい、と言われています。

アスペリティの規模は地域によってまちまちです。
北海道や東北の太平洋側ではアスペリティの半径は数10km程度です(下図)。

https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/623309/02/41411702/img_3?20130727160328


静岡から高知へ至る南海トラフではアスペリティは半径100m以上の円形~楕円形です。
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-05-f0/edy7oceans/folder/623309/02/41411702/img_4?20130727160328

地震の正体はアスペリティの破壊だ

さて、「地震」を一言で言い表せば、地下の岩石が破壊してずれることです。
ある一点(震源)から始まった破壊は、立体的にではなく、平面的にバリバリっと広がります。
このように破壊してずれた面が地震断層です。
この破壊面が、まさにアスペリティに相当するのです。
つまり、地震の正体はアスペリティの破壊なのです。

ところで、一回の大地震で地震断層はどの程度のずれるのでしょうか?
上の図の四国沖や紀伊半島沖などの青い部分の中にある数字がずれた距離です。
おおざっぱには1mから5m程度といったところです。
(ですから一番上の図は実は大げさなのです。)

なぜ5mなのかというと...   海のプレートは毎年5cm前後の速さでもぐり込みますから、
100年間ブレーキが効いていれば、アスペリティに5m(100年分)の歪みがたまります。
100年に一度、ブレーキに限界が来て、ギギッとスリップして一気に歪みを解放し、
5mずれたところでまたブレーキが効き始めます。

5mはアスペリティの直径の0.01%に過ぎないので、極めて微小なずれです。
しかし、秒速数メートルで大地が動きますから、とてつもないエネルギーを放出します。

ご存知のように、エネルギー(地震の規模)を表す数値としてマグニチュードを用いますが、
マグニチュードは、破壊した地震断層の面積と、ずれた距離によって決まります。
つまり、大きなアスペリティが数百年ぶりに破壊すれば、マグニチュードは大きくなります。
10mもずれたらマグニチュード8.5以上になるでしょう。

まとめ(アスペリティモデル)

● プレート境界面には、滑りやすい場所と引っ掛かっている場所(アスペリティ)がある。
● 地域によって固有のアスペリティがあり、サイズはまちまち。アスペリティのない場所もある。

● 普段はアスペリティが踏ん張っているから(ブレーキが効いているから)地震は起きない。
● アスペリティに歪みがたまって、耐えきれなくなってずれる(岩石が破壊する)のが地震。

● 地震が起こる場所はアスペリティに限定されていて、固有の再来周期(破壊周期)がある。
● アスペリティは一度ずれても、またがっちりと噛み合い、周期的に地震を繰り返す。

● 大きなアスペリティほど長期間踏ん張りがきくが、破壊すれば巨大地震を起こす。
例)静岡~高知の南海トラフ
  アスペリティの直径100km以上、破壊周期は100-200年程度、M8クラス
● 小さなアスペリティは踏ん張りがきかず、ちょくちょく壊れ、似たような地震が時々起こる。
例)北海道や東北の太平洋側
  アスペリティの直径数10km程度、破壊周期は50年程度、M7クラス

アスペリティという概念はここ10年程で定着した概念で、
アスペリティ範囲や、破壊履歴、歪みの蓄積度合いを知ることが地震予知の第一歩。

(参考にした書籍:東大出版会「地震予知の科学」日本地震学会地震予知検討委員会編)

次回は 地震のしくみと予知のしくみ その2:「ゆっくりすべり地震の発見」
      # どうやってアスペリティの分布がわかったのか?
      # 周囲でずるずる滑っているのがどうしてわかったのか?

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転載元: EARTH, OCEAN, and LIFE


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