日本経済新聞2005年8月31日朝刊第11面からの一部抜粋です(一部、仮名を漢字に修正。また、漢字も修正したところがある)。公職選挙法が如何に時代錯誤(国会の不作為)か、が判ろうと云うものです。
 民主党は、マニフェストで選挙へのインターネット利用の解禁を訴えています(確か、前回参院選以降)。

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 1950年に制定された公選法は公平な選挙を目指す為、選挙活動用の文書図画をビラと葉書に限定、枚数も制限している。金のかからない選挙を狙ったものだが、今や印刷物よりネットの方がコストが安いのは誰が見ても明らか。先進国でネット活用を法律で禁じているのは日本くらいで、せっかくの高速ネットが活かされていない。ITに不慣れな永田町の論理が法改正を見送って来た為だ。
 しかし法律も解釈次第ではITを選挙に使う方法はある。ホームページを更新出来ないのは新たな頒布や掲示とみなされるからで、内容を変更しなければ掲載自体は構わない。ネット大手のヤフーには「公示を前に政党から広告スペースの引き合いが相次いだ」という。
 公選法が問題としているのは文字や符号などの文書図画であり、音声には制約がない。街頭で候補者の名前を連呼し、電話で応援を依頼するのはその為だ。従ってホームページに選挙演説の音声ファイルを置いて聞ける様にしたり、文面に絵や候補者の名前が無ければ携帯電話に音声メールを送る事も可能だ。
 様々なデジタル機器の登場で、総務省には「何が選挙に使えるのかという問い合わせが多い」(選挙課)という。例えばホームページのアドレスや携帯電話の二次元バーコードを選挙用ポスターに掲載出来るか。ポスターの大きさや枚数などには制限があるが、これは問題無い。つまり携帯電話で二次元バーコードを読み取ると選挙演説が聞ける仕組みはOKだ。
 ではインターネットによる動画配信はどうか。公職選挙法には政見放送についての定めがあるが、通信には特に縛りが無い。内容を更新しなければいい筈だが、これがインターネット放送と見なされると問題が生じる。堀江氏を含め危ない橋を渡る候補者がいないため具体的な基準が問われていないが、いずれ明確にする必要があるだろう。

参考A:このブログ内の記事「【参考資料】選挙でのネット利用の公職選挙法上の制限(日経産業新聞2005年8月29日付第28面)」
http://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/9941679.html

参考B:その他の公職選挙法の規定について…このブログ内の記事「【参考資料】あまり知られていない公職選挙法の規定(朝日新聞2005年9月3日付夕刊第1面から)」
http://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/10303519.html

参考C:日本経済新聞2005年9月1日付夕刊第5面から一部抜粋。
旧自治省が新党さきがけの質問状に答え、そうした見解を示したのが96年10月。それ以降、法改正は手つかずだし、法解釈も変わっていない。
 総務省幹部は「公選法の意味は『砂場に書いた文字でも文書図画』だと旧自治省時代から言われてきた」と明かす。一方で「公選法はそもそもインターネットの出現を想定していない。実態と合わない部分があるのは確かだ」と認める。
 政府も全く動いていないわけではない。総務省の「IT時代の選挙運動に関する研究会」が2002年にまとめた報告書は ①HPでの選挙運動を動画・音声とも解禁 ②候補者や政党以外の第三者による応援サイトの開設を容認---などを盛り込んだ。
 だが、その後はたなざらしのまま。「議員の身分にかかわる問題は政府提案でなく議員立法が望ましい」というのが永田町の慣例。ある政府関係者は数年前、自民のベテラン議員が「民主の方がHPの作り方がうまいし、しゃれている」と漏らす場面を目撃した。政党が一致点を見いだすのは用意ではない。

参考D:日本経済新聞2005年9月1日付夕刊第5面、日大法学部教授・岩淵美克氏のインタビューから一部抜粋。
 ---HPを用いた選挙運動が解禁されません。
 「できるだけ多くの候補者情報を有権者に与えるべきで、早く解禁した方がよい。国会議員は既存の選挙運動で勝ち上がってきた人の集まり。新たな形態の選挙運動は自身へのデメリットと映り、法改正を妨げてきたのではないか」
 「2002年の韓国大統領選で、盧武鉉氏がインターネット新聞やブログを通じたファンクラブを目の当たりにし、特に与党議員が危機感を強めた」
 ---総務省の研究会はHPに加え、第三者による応援サイトも解禁すべきだとしています。
 「第三者による応援サイトは匿名性が高く、怪文書になる可能性がある。そこまで広げるのは早いのでhないか。電子メールもメールアドレスの買い取りなど不正の温床になる。当面はHPの解禁を急ぐべき
だ」
 「議員の利害に絡むだけに議員立法の成立を待っていても難しいかもしれない。政府が『HPは公選法が規定する文書図画には当たらない』と解釈を変えることはできないだろうか」

参考E:朝日新聞2005年9月10日付朝刊第4面から全文。
 自民党は9日、党内に「選挙におけるインターネット利用に関する小委員会」(仮称)を設置すると発表した。
 現在、インターネットを使った選挙運動は公職選挙法で禁じられているが、「ネットの普及により、政党や議員が日常の政治活動で利用するケースが増えている」として、法改正も視野に議論するとしている。
 今回の総選挙では、民主党が公示後、ホームページ(HP)に選挙情報を流したことが公職選挙法違反の疑いがあると自民党が総務省に通報。民主党が「自民党も都議選期間中に選挙記事を掲載した」と反論するなど、ネットの選挙利用について議論が活発化している。