ここでは、日本郵政公社を民営化せず、公社のまま存続させるとした場合、私が、必要と考える条件について述べます。通常の金融政策と同一のものを適用する事を第一の優先課題とします。

① 普通郵便貯金は、無利子にせよ。

  預金保険を負担せず、国の暗黙の保証を背景にしている郵便貯金では、民間預金と同じ土俵に経たせる為には、普通郵便貯金を決済預金と同様、無利子とすべき。決済性の預金は、現在の低金利の下では、無利子としても大した障害はない。
 また、金利が上昇した際は、国債を大量に持つ郵貯は、採算の悪化が懸念されるのだが、それと切り離しておく事にも支障は無い。

② 定期などの資金性預金は、国債から一定利率(政令で定める)を引いた金利とすべき。

 国債+財投債によって運用するnaroow bank形態を指向する。資金の一部を資金市場へ出してもよいと思う。
 現在の財政投融資資金は、自動的に国債金利+0.2%の上乗せをするもので、絶対に黒字が保証される八百長金利である。かと言って、この巨額の資金を運用する他の術も簡単には見つからないのも事実。現在の郵貯資金の大きさでは、資金のちょっとした運用性向の変化も、市場に余りにも大きな影響を与える。俗に言う「井の中の鯨」状態である。この事は、現在の郵政民営化法案に潜む問題点でもある。もし、郵貯を公社形態のまま存続させるのであれば、いっそ国債+財投債の引受機関としての性格を強め、金利をそこからの一定割合(事務経費)を引いたものとした方が、会計上すっきりする。
 窓口でも、国債を売る事にし、国債の決済口座預け入れも出来る(国際自体に金利が付いているのだから、預け入れに当たって、更に金利を付ける必要は無い)事にしたら、郵貯資金の国債への転換もすっきりと進むのではないか?

③ 簡保は現状で存続。

 ②と同じ様なものだが、自主運用を認めてもいい(現在も一部ある筈)。Dealingは、能力のある人間さえ雇えば、人数が少なくとも、出来るものだと考えるから。しかし、現状の年金基金の様な天下り役人や天下り会社役員などによる丸投げのものにしてはならない。

④ 郵便事業に関しては、公社形態を維持する必要は全く無いと考えるのだが、もし公社形態を維持するのであれば、出来るだけequal footingを確保する事と、インフラとしての意義を明確にする為、次の様な方針で行う。

a)独占分野は、訴状の送達だけにし、親書の独占は廃止する。
b)全国一律料金は維持。 
c)郵貯や簡保からの資金の移動は、国会の承認が無い限り、認めてはならない。もし、郵便事業の収支が悪化する様なら、年賀官製葉書(配達期間を限定する)以外の葉書の料金を値上げする事で補う。葉書と封書の実際の運送経費に殆ど差は無いからである。
d)民間運送会社から荷物を請け負って配達出来る事を明確にする。その際の料金は、一律料金でも、優遇料金でも構わない。
e)場合によっては、民間運送会社に最終配送を任せられる様にしてもよい(現在は、中間部分は民間運送会社を使っているが、終端の配達は公務員がやっている様に見える)。

参考A:このブログ内の記事「現在の郵政事業の担っている機能のうち、守るべきものは何か?」
http://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/9877724.html